師走の風物詩「第九」

年末になるといたるところで「第九」の演奏会が開かれたり、テレビでも多く放送されるようになります。

オーケストラ

「第九」というのはベートーヴェンが作曲した交響曲で、正式名称は『交響曲第9番ニ短調作品125』 フロイデ, ショェーネルから始まる有名な合唱は第4楽章の「歓喜の歌」という部分です。 交響曲というのは管弦楽で演奏される楽曲で、4つ程度の楽章で構成され、1つ以上の楽章がソナタ形式であることが定義です。この交響曲第9番は第1楽章、ソナタ、第2楽章、スケルツォ、 第3楽章、緩徐楽章、第4楽章、独唱、混合合唱となっています。

この時代、交響曲に歌を入れるのはタブーとされていましたが、ベートーヴェンはあえて「歓喜の歌」をつけました。この歌詞はベートーヴェンがフランス革命時代に大変感銘を受けた詩人、シラーの「歓喜を寄せて」をもとに作られました。ベートーヴェンは生涯シラーの詩を愛し、自身最後の交響曲、第9番の最終章に織り込みました。

ベートーヴェンは30歳頃から耳が聞こえなくなっていて、第九の作曲中も音を聴かず曲を作っていたので完成した自分の作品を聴く事はありませんでした。しかし耳を使わずに作曲できるなんてすごい能力ですよね。第九の初演では、難聴のベートーヴェンは観衆の拍手や大声援に気づかず助手に促されて観客席を向き、この曲の成功を知ったと伝記に記されています。

Stieler, Joseph Karl: Beethoven mit der Missa solemnis Ölgemälde, 1819

では、なぜこの曲が年末に多く演奏されるのか? それは諸説あるようですが・・・。

●ドイツで大晦日に第九を演奏していたので日本でも真似てみた説。
●学生の壮行会で12月に歓喜の歌を演奏し、戦後、生還した学生が再び12月に演奏し、仲間たちの追悼をした説。
●戦後の貧困でオーケストラ楽団員達の年末の稼ぎとして始まった節。

いずれにしても、戦後の暗い日本に前向きで明るい歓喜の曲が、新しい年への未来と希望を描き、日本人の心を晴れやかにしたという事には違いないでしょう。

この素敵なメロディーは色々な作曲家により翻訳、編曲されていて、アメリカでは讃美歌の歌詞がつけられ「ジョイフルジョイフル」という聖歌として歌われています。映画“天使にラブソングを”でゴスペル曲にアレンジされ、今やゴスペル音楽には欠かすことのできない1曲となっています。

日本では 
はれたるあおぞら ただようくもよ  ことりはうたえり はやしにもりに 
という歌詞が有名ですよね。

2015年も残すところあとわずか。今年も第九を聴きながら新しい年の始まりを待ちたいものです。

新年

ちなみに年末に第九が演奏されるのは日本だけのようで。
ヨーロッパではハレルヤで有名なヘンデルの「メサイア」が主流のようです(^_^;)